まず最初に、バルブクリアランスの調整は冷間時に行うこと~。
110Fエンジンの頭の部分がカムカバー(ロッカーカバー)で、上部のナット2つで締められているだけなので取り外しは簡単。うちの500はノーマルのロッカーカバーなので単一で外せるけれど、アルミのタペットカバーに換えてあったりするとキャブレターが干渉気味で取り外しにくいらしい。
カバーを外すとエンジン剥き出し状態になって、メカ初心者の頃だとけっこうドキドキする。なんかすげー!と興奮気味になる。でも旧車イジリしてるとすぐ慣れるので、そのうち淡々と無表情でこなすようになる。
バルブを動かす=エンジンを回す。
ということで、ダイナモあるいはオルタネーターのプーリーを手で回すことで、エンジンも連動するからバルブが上下する。この時はスパークプラグを外しておかないと、密閉された圧力の抵抗でかなり重くて、指や手の平が痛くなる。軍手も着用しておいた方がよいでしょう。
ご存知のとおり、ヌオーバ・チンクエチェント(Nuova500)こと旧車のフィアット500は2気筒エンジン。吸気と排気のバルブが、各気筒ごとに2つ1組で存在する(合計4つあるけど4気筒じゃないよ!)。
そのうち動画で撮れば分かりやすいのだけれど、手動で回していくと2つ1組のバルブが上下にピストンし、もう一組の方2つは停止してる状態。さらに回していくと動く側の組が交代する仕組み。つまり、エンジンが掛かっている時はその動作を高速で繰り返しているというわけ。こんなシンプルかつ面白い構造が、現代人にとってはブラックボックス化してしまってるのだから、なんだかなーという気持ちにはなっちゃう。懐古趣味とまでいかなくとも温故知新ではありたいよね。
さて、話を作業に戻そう。
圧縮の上死点に合わせて、バルブクリアランスを0.15mmに調整。
必要なものはスキマを測定するための『隙間ゲージ』で、リーフと呼ばれる金属板がセットになっている。シックネスゲージ・シクネスゲージとも言うそうで、大体がステンレス製。プラスチックもあるようだ。ちなみにテーパーゲージはまた違う工具名。

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ふつうにAmazonで購入。旧チンク用に15mmがあればよかったので枚数の少ない安価なゲージを選択。もちろん大は小を兼ねるので、いっぱい厚さが揃ってるのもアリかも。

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楽天やらYahoo!ショッピングでも500円~1500円くらいで種類は豊富。

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おっ!デジタルもあった。
いわゆるタペット調整は、ピストン運動が停止してる側の組に対して行う。エンジンサイドのプーリー(クランクプーリー)の横に矢印マークがあって、そこにプーリーのマーカー(棒状の印)を合わせると「上死点」となる。
このマーカーは年式やパーツによって形状や色が違うらしい。
上死点に合わせ、停止してる組のバルブ2つのタペット・ナットをレンチで緩めて、すきまに0.15mmのシクネスゲージ(隙間ゲージ)を挟む。その状態でタペット上部のアジャストスクリューをペンチで回しながら、ゲージを前後させて適切な間隔を探っていく。うまく調整ができた所で、ナットを締めて完了。再びプーリーを回してもう一方の組の上死点を出して同じ工程を行う。
つつがなく終わったらロッカーカバーを被せて元に戻し、ナット締めすればタペット調整は終了。ちなみにガスケットを挟み忘れないように注意!そのまま走行するとエンジンオイルだだ漏れになるでしょう。(さすがにやったことないけど)
※加筆中です※