FIAT500 / Nuova500

オールド・チンクエチェントに乗れば誰もが出掛けたくなる!ヴィンテージなFIAT500のある幸せ生活☆

投稿日:2022-12-05 更新日:

フィアット500のキャンバストップは、そもそも昔の2気筒ならではのドコドコしたエンジン音や振動を外に逃がすために、生みの親であるダンテ・ジアコーサが苦肉の策で採用したという怪我の功名であったのは有名な話。

最初期型のNuova500 プリマ・セーリエは後方まで開くコンバーチブル(カブリオレ)で、後に運転席の上部のみが開閉する見慣れた”ルパンタイプ”のチンクエチェントとなる。次元が身を乗り出してマグナムぶっ放してたアレである。

クローズドな屋根では決して実現できないアクションだけど、昔の白黒映画とか観てると屋根から人や荷物が出入りをしたりと古いクルマは何かと自由だし便利でもある。

 

1957年に誕生した最初期型の「プリマ・セーリエ Prima Serie」(ファーストシリーズ)。数年後に改訂版の500Dにマイナーチェンジされるまでの車体が、FIAT社がリリースした車名として厳密な意味での「Nuova500 ヌォーヴァ・チンクエチェント」(新型500)である。

 

旧チンクこと2代目フィアット500は、いまや旧車どころかクラシックカーになりつつある。半世紀以上も前のビンテージカーあるいはヒストリックカー。いや、もう骨董とかアンティークの部類かもしれない。でも合法的に公道を走れるんだから素敵だ。

そんなオールドタイプのフィアット500だけど、先述の通り、特に日本では宮崎駿監督がルパン三世一味を乗せたことから知名度が高く、その人気も根強い。イタリア車に興味のないような人にも黄色い可愛いルパンの愛車として認知されているのだから、古きよきアニメの影響力は絶大だよね。

ちなみに、カリオストロの黄色いFIAT500がアニメ初登場ではなく、テレビ第一シリーズ(ファーストルパン)の後半から既に白と薄水色のチンクが登場していて、二階堂有希子さんが初代声優を務めた峰不二子ちゃんもバリバリ運転している。

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大塚康生とルパン三世の愛車フィアット500!アニメ作画監督の相棒 FIATチンクエチェント

アニメ・ルパンの作画監督である大塚康生氏の愛車だったのがそもそもの採用のキッカケ。同時に製作に関わっていた宮崎駿氏はシトロエン2CV(クラリス様の逃走者)に乗っていた。

 

joakant / Pixabay

後部座席の真裏にあるエンジンルームからはダイレクトに音と振動と熱が伝わってくるし、車外からも窓やサンルーフからどんどん騒がしい音が入ってくる。初めて乗ると耕運機みたいだけど、慣れちゃう。むしろ鼓動が病みつきになって気持ちが落ち着く境地に到達するわけだけど、現代のイマ車と比べてしまえば乗り心地なんて一般的な感覚では別によくないのだろう。ガタガタぶるぶるとけたたましい喧騒がキモチよくなっちゃうのが旧車乗りの宿命なのだ。

 

車体もタイヤも小さいので小回りは効きまくりで、転回なんかもまったく苦にならないとはいえ、当然ながらパワステなんて無いから重ステ。ぐぐっと握力込めてステアリングを握って操縦に集中する。もちろんエアコンも付いてない。(大掛かりに改造でもしないと普通は付けることも出来ない)

でも、そのチープこそが魅力なわけで、ラグジュアリーな自動車なら他を当たって下さい、と。だってせっかくヴィンテージな旧車なんだもん。現代車なみに快適だったら面白くないじゃーん。オンボロと苦労自慢はアルアル話で、かっこうの酒の肴。ぜったいに人生を豊かにしてくれるよ!

 

そんなオールド・チンクエチェントの空冷2気筒エンジンは当然ながら非力で、最高速度も時速100kmに満たないもの。オリジナルの500cc(499.5)からボアアップして650ccにしてあれば多少はトルクも増すけれど、何人か乗ればやや急な坂道なんかはキツイ。というかローギアでも牛みたいに前進するのがやっと。だけど、そもそも車重も500kg弱しかないから、ジリジリと踏ん張って馬力を捻り出すのは案外とイケるものだ。箱根の旧道だって登れないことはない。もちろん後続車は先に行かすけど。それでいて、平坦な街の中なら思いのほかキビキビと走ることができるし、普通の流れなら乗れちゃう。しかし高速道路は基本的にやめておいた方がいい。運転や速度というよりは安全性の問題。エアバックなんて存在しないから、もし他の車の巻き添えでクラッシュされたら高確率でお陀仏すると思われる。

エアコンとか便利な装備は皆無だし、真夏の運転はそれなりに過酷だけど、三角窓やオープントップから入ってくる風はわりと気持ちいい。クーラーに慣れてる分、自然の織り成す送風は新鮮味を感じる。冬場はエンジン熱でむしろヒーター効きすぎなくらい車内がポカポカとなるけど、やや酸素が欠乏しだすので結局は窓を開けて顔はヒンヤリという頭寒足熱なコタツ状態。だが、それがいい。

細いステアリングと華奢なペダルからは、いかにも“操っている”という感覚が伝わってきて、クルマの原点、クルマの楽しさ、そういった大切な事柄がぜんぶ詰まってる実寸台の1/1ミニカー。究極のオトナのおもちゃ。かつては古き良き戦後のイタリアで大衆に幅広く自動車を普及させた歴史的な名車であり、偉大なる庶民のアシクルマ。存在意義は変化しつつも、今なお多くの現役の実走車が生存していて、世界中で愛されている素晴らしい自動車なのだ!



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