■改造フィアット500『マキナ』とは?
古いクルマを現代の交通事情下でも普通車さながらに乗りたいという企画のもとに生まれた一台。
その名も『チンクエチェント・マキナ』
おそらく由来は、イタリア語のマッキナ(macchina=クルマ、機械、マシン)と思われる。
画像は海外で独自に改造されたスワップ車(Subaru EA81エンジン搭載)だけど、日本で「マキナ」と呼ばれるスバル・サンバーの改造FIAT500は、2005年くらいに愛知のチンクエチェント博物館とスーパーオートバックス(兵庫県)が共同開発してフィリピンで製造された10台ほどが元祖。(なので外国ではそういう呼称はなくSWAPという括りのようだ)
How to Swap Gm Lt Series Engines into Almost Anything
日本においては、今ではエンジンコンバートされた旧チンクが総称的に「マキナ」と呼ばれる傾向にある模様。
チンクエチェント博物館に限らず、独自に改造チンクを製作・販売しているプロショップもある。完全にワンオフカーになるので、後々のトラブルに対応するのが少々タイヘンかもしれない(他のショップでの修理が困難)。
ちなみに、2021年現在では同じくチンクエチェント博物館のプロデュースでEVコンバート車”クラシケ500ev”が話題となっている。
その当時のブログ記事などから得た少ない情報によると、オリジナルの「チンクエチェント・マキナ」は500FのボディをベースにSUBARUサンバーの水冷直列3気筒のSOHC660ccエンジンが積まれ、トランスミッションや足回りもサンバーから流用。ギアは3速ATで、ディスクブレーキ方式。エアコンも装着済みだった模様。価格は279万7200円だったとのことだけど、諸経費もろもろ込みで300万円くらいだろうか。
ルパン三世でお馴染みの可愛らしいイタリア車に、メイド・イン・ジャパンのSAMBARエンジンを移植した、まさに異色な旧フィアット500であるマキナ。
ATオートマ化された上に快適なエアコンまで付けられちゃったりと、オリジナルの旧チンクエチェントを知っている人にとっては乗り味がちょっと想像できないような夢のマシンこと、マッキナなのである。
ルパン三世ばりのカスタムも、夢だけど夢じゃなかった!?(笑)
もちろん各所はきちんとレストア&整備されて、見た目はイタリアのクラシックカーなのに中身は国産の軽自動車で、エンジン排気量も660ccにパワーアップ。もちろん元々の設計からは逸脱するので、足回りをはじめ全体に渡り各部をチューニングを繰り返し仕上げていくのだろう。総合バランスは大事。
外観は往年のヴィンテージカーそのもの。ただインテリアは日本の軽自動車なので、オーナーさんによって好みのモディファイが施されるようだ。
製作自体はプロフェッショナルな方々の技術を以てすれば実現はさほど困難ではないと思うけれど、実際に公道を走れるようナンバー取得するのがそれなりに大変らしい。改造車なので。
わざわざフィリピンで製作して日本に持ち込んだ経緯は、その辺りの問題をクリアするための裏技的な方法だったとのこと。ほぼ自作の車両を、海外から輸入する形をとって、日本で軽登録する。そこんところの法的な詳しい事は知らないけれど、いわゆる大人の事情というやつだと思われる。(もちろん合法なのだろうけど)
スバルやホンダのエンジンに積み替えたフィアット500といっても、クラシック・チンクエチェントは極めてシンプルな構造であるため、ほとんど自作車に近い状態になると言えなくもない。自分で造ったクルマを簡単に登録できるほど日本の法律は甘くはないでしょうから、その辺のハードルをクリアするための方法のようだ。
たとえばフィアット600やフィアット850に、アウトビアンキA112のアバルトエンジンをスワップしたりとか、改造として定番らしいのだけれど、ある程度のベースを共有する同族間でフュージョンさせるのとはワケが違うということ。