パーツ収集癖があるわけではないものの、古いイタリアの旧車部品はアンティーク的な価値もあり、美しさも秀逸なのだ。
我が家の旧チンクエチェントは製造番号から遡ると1965年製の初期型500Fだが、それなりに随所に当時物のオリジナルパーツが残っていて、いろいろバラしてると小さな感動があって楽しい。まさに動く骨董品である。
おそらく後付けされたパーツだけど、500Lのメタル製リアエンブレムがエンジンフード左側に斜めに配されていた。両面テープが剥がれかけていたのと、周囲に塗装割れやサビがあったので外して綺麗にした。いぶし銀な底面とピカピカの表面のコントラストがいい。長い年月を刻んだ金属パーツの風合いは実に魅力的。
メイド・イン・イタリー。
クロモドラ(CROMODORA)というイタリアの古い部品メーカーだそうで、後にマニエッティ・マレリ(Magnetti Marelli)に吸収されたらしい。調べてみると面白いが、かつてのイタリアには零細の小さな職人工房的な自動車部品メーカーが沢山あった。キャレロも、ウェーバーも、ヴェリアも、モモも、ナルディも…ecc.
この500Lエンブレムは残念ながら手放してしまった。
旧チンクを我が家に迎え入れたばかりで車両の支払いが残っていたし、問題なく走らせるためのメンテナンスに必要な実用的パーツの供給に資金を充てるべきと考えていたからだ。でも、ちょっと(かなり)惜しかったな、と後悔している。
まあ、500Fに500Lのエンブレムを着けておくことには抵抗があったし、どの道いずれ取り外す予定ではあった。かといって、こういう当時物の古いパーツを骨董やアンティークみたいに部屋のインテリアとして肥やしにするのも、あまり好きではない。誰かが実用すべきだと思う。
…でも、手元に置いておきたい欲求には常に駆られる…。うーん。クラシックカー趣味ならではの悩み。まだ旧車一年生ではあるのだけれど、早くもオールド・チンクに乗ることの魔味に取り憑かれつつある今日この頃。