フィアット500らしいFIAT500といえば、やはりFタイプ「500F(エフ)」だと思います。
1965年から1972年までの7年にかけて製造されたFタイプは、500のマイナーチェンジモデルとして最長年数であったし、いわゆる「後期型」なので性能面でも充実している。70年代前後はチンクエチェントの最盛期であったと言えるでしょう。
実際、レストベースの車体としても世に出回る数が多いモデル。
とはいえ、外観的な特徴だけでオールドタイプの旧チンクを見分けられるのはコアな層だとは思うので、シンプルに言ってしまえばルパン三世がカリオストロで乗ってるFIAT500こそが最もメジャーで分かりやすいチンクエチェント像。まあ、フォルムは基本的にみんな同じだから一見さんには判別つかないのも当たり前なのだ。
↓以前、こっちのサイトでざっくり体系化した記事が分かりやすいかもしれない。
ただ、フィアット500に限らずクラシックカーというものは歴代オーナーの手が加わっていくので、オリジナルの状態で現存するケースは少ないはず。
旧チンクエチェントにおいても、やはり人気のルパン仕様な500F風に外観・内観をカスタム&モディファイするケースは多いし、カッコよくアバルト風に仕上げられるのも定番。さらにはカリオストロばりのスーパーチャージャーまで積み込んじゃう猛者もいるという。
実質的にはNuova(ヌオーバ)として2代目フィアット500としては完成されたモデルとされ、旧チンクとしては最も人気のある車種と言われている500F。
安全基準をクリアするために、500(チンクエチェント・ディー)の前開きドアから前ヒンジの後開きドアに変更され、全体的にボディパネルが見直しされた500F(チンクエチェント・エフ)は、耐久性の向上のためリアの足回りとクラッチが強化されている。エンジンも499.5ccの排気量のまま最高出力18馬力にパワーアップ。
外観は、ドアピラーがわずかに細く、その分ウィンドウが広めに変更。そして、ボンネットフードとエンジンフードのモールが無くなっている。
かつて1957年にヌォーヴァ500のプリマ・セーリエ(ファーストシリーズ)が登場した時、合理的に経済性をつき詰めて簡素化されすぎたボディは、大衆の心を掴むのに苦戦したという経緯がある。キラキラしたクロームメッキのモールを施したような自動車こそが、戦後復興の最中にあった当時のイタリアでは憧れの象徴でもあったのだろう。
それが、8年という歳月を経て500Fというモデルが登場する1965年の頃では、人々の志向や顧客の好みが著しく変わったというのだから面白いものだ。