フィアットチョコレートとは、イタリアから輸入されているFIAT公式のお墨付きを持つブランド・マイアーニ(Majani)が手掛ける高級チョコレート。近年では楽天市場やYahoo!ショッピングなどの大手オンライン通販で取り扱う販売元も増えているので、昔より入手しやすくなっている。
特にバレンタインデーやホワイトデーの時期を中心に、フィアット愛好家のみならずイタリア車ファンが毎年楽しみにしている方も多いはず。FIAT500(チンクエチェント)のミニカーなどがパッケージングされていて、自動車好きな方へのプレゼントとしても人気のイタリアン・チョコレートなのだ!
マイアーニ(Majani)は歴史あるチョコレート工房
ボローニャの老舗チョコレートメーカー『Maiani マイアーニ』により世に送り出されるFIATチョコ「Cremino クレミーノ」は、選りすぐられたヘーゼルナッツとアーモンドを、絶妙な配合でミルクチョコレートと組み合わせた高品質なチョコレート。
これがまた、実に美味しい。
Majaniというスペルから「マジャーニ」と読みたくはなるものの、発音はマイアーニ。「J」というアルファベットはイタリア語ではあまり使われない文字で、音も濁らないことが多い。(たとえばJuventusユベントスとか)
ちなみに、FIATチョコレートについては、以前にcinquecentistaの方でも紹介しています。
フィアット社の前身となる"Società Anonima Fabbrica Italiana di Automobili"は、自動車への情熱から集ったピエモンテ貴族たちの主導で、1899年7月11日に北イタリアの旧首都『トリノ Torino』の街に設立された。
ほどなくして社名を変更し『FIAT フィアット』社の誕生となるのだが、それは"Fabbrica Italiana Automobili Torino"(トリノ・イタリア自動車工場)の頭文字である。この"fiat"はラテン語源でもあり、「なる、生まれる」すなわち「be it」というニュアンスの意味も持つ。
さて、フィアットチョコレート誕生のきっかけとなった『FIAT Tipo4(ティーポ4)』だが、1911年当時をもって時速95キロにも達することの出来た高級車であった。1910年から1918年まで製造されたティーポ4は「Fiat 30-45 HP」とも呼ばれていた。
1915年以降、12Vの電気システムが設置され、当時としては実験的だった3つのフロントライトにその電力を供給していた。第一次世界大戦前にはヴィットリオ・エマヌエーレ三世のための車としても活躍し、第二次世界大戦が始まるまで使われたそうだ。
FIAT社は、その特別な車のマーケティングの発表を祝い華を添える形でイタリアの人々にアピールしたかったのだが、その宣伝として今で言うノベルティを顧客に提供しようと考えた。
そこで登場することになるのが、ボローニャの『Majani マイアーニ』で考案された4層のクレミーノ、すなわちFIATチョコレートの誕生である。
その頃のマイアーニの広告が資料として残っている。
この記載によると元々は「bonbon Fiat Majani」という名前だったようだ。
成功を収めたフィアットの名を冠したチョコレートは、100年以上が経過した現代でも、イタリア食文化とその経済的な歴史を結びつける「マイアーニの宝石」として、同社の看板商品の一つとして受け継がれている。
日本では、ルパン三世のアニメ(とりわけ映画のカリオストロの城)をキッカケに広く認知されることになった経緯のあるFIAT500(チンクエチェント)のプロモーションにもよく使われる。
フィアット500といえば黄色のチンクエチェントというイメージは、ほぼ間違いなくルパンだと思う。